古物営業法の解説 古物商と行商

古物営業法の解説

古物営業法の目的

古物の売買等には、その性質上、盗品等の犯罪被害品が混入する可能性があり、これを野放しにすれば、犯罪被害品が社会に流通し、結果的に犯罪を助長してしまうおそれが多分にあります。したがって、法令等で定められた各種義務を果たしていただくことによって、窃盗その他の犯罪の防止を図り、併せて被害が迅速に回復できる社会を維持していこうということを目的としています。

法で定められている言葉の意味

1 「古物」とは

1.一度使用された物品
2.使用されない物品で使用のために取引されたもの
3.これらいずれかの物品に「幾分の手入れ」をしたもの
をいいます。

ここでいう「使用」とは、その物本来の目的にしたがってこれを「使う」ことをいいます。(例:衣類→着用、自動車→運行、カメラ→撮影)
また、「幾分の手入れ」とは、物の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で、修理等を行うことをいいます。

2.取り扱う古物の区分は、次のように区分されています。
①美術品類 絵画、書画、彫刻、工芸品、登録火縄銃、登録日本刀等。
高価なアンティークものが手に入ることもある一方で、鑑定が難しい品も多数。見る目を養うことが大切。
②衣類 和服、洋服、その他の衣料品、敷物類、テーブルクロス、布団、帽子、旗等。
どの客層をターゲットにするかを考えて扱う衣類を判断する。流行も意識すると良い。ユーズドの衣類は若者に人気がある。
③時計・宝飾品類 時計、眼鏡、コンタクトレンズ、宝石類、装飾具類、貴金属類、模造小判、オルゴール、万歩計等。
ブランド物は人気が高いが、美術品と同様に鑑定が難しい。時計や宝石は偽ブランド品が多いので買い取りの際には注意が必要。
④自動車 タイヤ、バンパー、カーナビ等の部品も含む。
ネット・オークション売買の人気が高まりつつある。
⑤自動二輪車・原動機付自転車 マフラー、ヘッドライト等の部品も含む。
ニッチな分野の特定の部品類にはマニアの間で人気の品であることもある。自動車と同様にインターネット売買の活用が高まりつつある。
⑥自転車 部品類も含む。
折りたたみや電動など種類も豊富。補修作業ができれば、新品同様の自転車としての販売が可能。
⑦写真機類 カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器等。
中古デジカメの登場で市場が活性化。クラシックカメラもマニアの間では人気が高い。
⑧事務機器類 工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品等。
何十万円という高額な商品ばかりなので、商品管理と販売ルートを確立させることが重要。
⑨機械工具類 工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品等。
何十万円という高額な商品ばかりなので、商品管理と販売ルートを確立させることが重要。
⑩道具類 家具、楽器、運動用具、CD,DVD、ゲームソフト、玩具類、トレーディングカード、日用雑貨等。
取り扱う商品についての知識は必須。中古スポーツ品や中古TVゲームソフトは根強い人気がある。
⑪皮革・ゴム製品類 カバン、バッグ、靴、毛皮類、 ビニール製、レザー製の化学製品等。
ブランド物やバッグは女性に大人気。ただし、コピー商品が出回ることも多いので、識別できるようになることが大事。
⑫書類 古物営業の王道、漫画を主に古本の人気は高い。既に絶版になったものには高額で取引されるものもある。
⑬金券類 商品券、ビール券、乗車券、入場券、回数券、郵便切手、収入印紙、株主優待券等。
航空券、乗車券等は常にビジネスユーザーの需要が見込める。ただし、稀に偽造もあるので要注意。

大型機械類のうち、
総トン数が20トン以上の船舶
航空機
鉄道車両
重量が1トンを超える機械で、土地又は建造物にコンクリートや溶接等で固定し、簡単に取り外しができないもの
重量が5トンを超える機械(船舶を除く。)であって、自走及びけん引したりすることができないもの
については、盗品として売買される可能性が低いため、法の規制から除外されています。

3 「古物営業」とは

「古物営業」とは、次の三つの営業をいいます。

1.古物商が、公安委員会から許可を受けて、古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業

2.古物市場主が、公安委員会から許可を受けて、古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいい、通常はオークションのような競り売りの方法で行われる。)を経営する営業
※古物市場での取り引きは、古物商に限られていますので、一般の方は参加できません。

3.古物競りあっせん業者が、公安委員会に届け出て、いわゆるインターネットオークションのように古物を売買しようとする者のあっせんをホームページを使用する競りの方法により行う営業で、インターネットオークションの運営者がこれにあたります。

 

許可を受けられない場合

許可を受けようとする方が、次に該当する場合には、許可を受けられません(欠格事由)。

また、既に許可を受けている者が次に該当した場合は、許可の取り消しの対象となります。

1.破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2.禁錮以上の刑に処せられ、又は一定の犯罪(注1)により罰金の刑に処せられて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
3.集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で、古物営業法施行規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(注2)
4.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの(注3)
5.住居の定まらない者
6.古物営業法第24条第1項の規定により、古物営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
7.古物営業法第24条第2項の規定により、許可の取り消しに係る聴聞の期日等の公示の日から、取り消し等の決定をする日までの間に、許可証を返納した者で、当該返納の日から起算して5年を経過しない者
8.心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として古物営業法施行規則で定めるもの
9.営業について成年者と同一の能力を有しない未成年者(注4)
10営業所又は古物市場ごとに、業務を適正に実施するための責任者としての管理者を選任すると認められないことについて相当な理由のある者(注5)
11.法人の役員が前記1.から8.までに掲げる事項に該当するとき。

許可の取消し

次に該当する方は、許可を取り消される場合があります。

・偽りその他不正な手段により許可を受けた。
・欠格事由に(上記「許可を受けられない場合」参照。ただし、9を除く。)に該当する。
・許可を受けてから6月以内に営業を開始しない、又は引き続き6月以上営業を休止し、現に営業を営んでいない。
・古物商等の営業所若しくは古物市場の所在地が確認できないとき又は古物商等の所在(法人の場合は、役員の所在)が確認できないときに、公安委員会がその事実を官報に公告し、その公告の日から30日を経過しても申出がない場合

また、上記のほか、古物営業法に違反したり、この法律に基づく命令や処分に違反したり、古物営業に関し他の法令の規定に違反すると、許可を取り消されたり、6月を超えない範囲内で期間を定めて、古物営業の停止を命ぜられることがあります(法第23条、第24条)。

「行商」と「営業の制限」

催物場への出店など、自身の営業所の外で古物営業を行う場合を「行商」といいます。「古物市場に出入りして取引を行う」、「取引の相手方の住所に赴いて取引する」、「デパート等の催事場に出店する」場合などは、許可内容「行商する」となっていることが必要です。

「行商する」になっていても、古物を買い受ける場合は、場所に制限があります(法14条第1項)。古物商以外の一般の方(法人を含む。)から古物を「受け取る」ことは「自身の営業所」若しくは「相手方の住所又は居所」でなければなりません。ただし、仮設店舗営業の届出をすれば仮設店舗で古物を受け取ることは可能です。

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